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「前処置」は行わず、手術前の痛みを少なくし患者さまの負担を軽減。
前処置とは手術前日などに手術を行いやすくするために子宮の入り口に特殊な医療材料(ラパン、ラミナリアなど)を挿入し翌日の手術まで留置することです。所が、前処置を行うと痛みが伴うこと、前日に病院に一度行かねばならないこと、など患者さまの負担は大きくなります。
手術予約をされてから手術当日までクリニックに来院する必要はありません。
また、痛みへの不安や時間拘束だけでなく前処置には子宮を傷つけてしまうトラブルも発生する危険性があります。
当院では、前処置を行わなくても、麻酔がかかった状態で少しづつ子宮の入り口を広げて手術を行うことで、痛くなく、安全に手術可能な技術を確立しています。
そのため、患者さまは「前処置」による恐怖感や痛みから解放されます。 -
手術時の点滴を指す針の痛みも取ります。
手術室に入りますと、麻酔薬を注入するための点滴を腕から取ります。
その際の針をさす痛みも取ることをめざしています。 -
中絶手術は当院独自の「静脈麻酔」によって、
眠ったまま行います。当院の麻酔は、15年前に婦人科として初めて独自に開発し、学会発表や麻酔論文誌にその安全性と効果を証明された麻酔技術です。
15年間で約6万件の無事故手術の実績があります。手術前から手術後までの全ての痛みをやわらげる麻酔による人工妊娠中絶手術を実施しています。完全に痛みを取り除こうとして多くの麻酔薬を使用すると、呼吸困難など麻酔事故の確率も高くなります。あるいは、麻酔からさめるまでに数時間を要し、手術当日に帰宅できなくなることがあります。けれどもほとんどの患者さまは、その日のうちに帰宅を希望されるため、従来、手術をする医師としては、多少の痛みが生じたとしても我慢していただき、少ない麻酔量で日帰りできる手術を行っていました。その様な場面を見る度に
- 1.安全で
- 2.痛みが少なく
- 3.容易に日帰りできる
麻酔法はないものか、と思い考えていました。
大学病院の集中治療室では、患者さまの激しい痛みを鎮めることが医師として必要でした。そこでさまざまな麻酔薬や鎮痛剤を使用し鎮痛方法を覚えました。その経験をもとに婦人科手術において痛みの少ない麻酔ができないか、考えたところ、
1. Aという薬は鎮痛作用(痛みを抑える)は強いが、副作用として夢を見たりする
2. Bという薬は眠りから目覚めさせることができる、副作用としてくしゃみが生じる
3. Cという薬はアレルギー反応のくしゃみを抑えるが、副作用として眠くなる
AとBとCの副作用をうまく配合利用すると(1)安全で(2)痛みが少なく(3)日帰りできるという特殊な麻酔技術を確立することができたのです。この麻酔方法を確立した研究に関する論文は、日本麻酔学会、日本臨床麻酔学会、日本産婦人科学会などの発表、論文として医学雑誌にも掲載されています。
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『婦人科開腹手術に対するドロペリドール・ブプレノルフィン
文献1を読む>>
混合点滴静注法の術後鎮痛効果』 『ブプレノルフィン・ドロペリドール混合点滴静注法による
文献2を読む>>
術後疼痛管理での副作用発生率
-帝王切開術と婦人科開腹手術の比較検討-』『帝王切開術における無痛管理法
文献3を読む>>
-穿刺痛除去を含む完全無痛の追求-』
- 大学病院や他のクリニックでも行っているの?
- 静脈麻酔は、全身麻酔と同じですか?
- 麻酔を使用することによる身体への負担は?
- 麻酔に「合う・合わない」というのはあるの?
- 今までに痛みを感じた人はいますか?
- 歯科治療をしていた時に「麻酔がかかりにくい」と言われたことがあるのですが・・・。
- 身体の都合上などで、麻酔が受けられないということはありませんか?
一部の最先端小児専門病院で、飲み薬で不安を取ることは行っていますが、
点滴時の針の痛みを取り、手術前から手術後まで全てを無痛で行っている病院はないと思われます。大学病院では管理が複雑な理由から行われていません。また同じ理由で一般のクリニックでの使用は難しいと思われます。
厳密には同じとは言えません。本当の意味での全身麻酔というものは、呼吸を止めて人工呼吸器の助けを借りながらの管理となりますが、当院の麻酔は呼吸を止めないことを前提としており、その意味では全身麻酔とは同じではありません。
適正な量、適正な時間内での麻酔であれば、化学の発達により副作用・合併症は全くといって良いほどありません。但し、麻酔の使用量が多くなると身体に 負担はかかります。例えば、局所麻酔では中毒量というものがあり、これを越えて薬を使用すれば、けいれん・血圧低下などのショックを引き起こします。 また、全身麻酔でも6時間以上連続して麻酔を使用しますと、のどが痛くなるなどの合併症が出てくる可能性があります。現在は、医薬品化学が発達し、より安全かつ安定した薬が多数開発されました。それにより、人体に影響なく麻酔が使用できるようになりました。
まれに麻酔薬によりアレルギー反応を起こし、身体にとって何らかの異常をきたすことを「合わない」とすると、「合わない」ことも起こりますが、頻度としては非常にまれです。また、麻酔の使用自体が初めてというかたで、アレルギー反応が起こるかどうかを事前に判断する方法はありません。けれども、幸い現在使用している薬はほとんどがアレルギー反応を起こしにくいものばかりですから、『合わない』というかたはほとんどいらっしゃいません。ただ、日頃から鎮静剤や向精神薬剤を多量に服用されているかたは、麻酔剤が非常に効きにくいことはあります。
患者さまの合併症や手術時間と内容の関係上、麻酔の濃度を下げることがどうしても必要だった場合は、手術途中で痛みを感じたかたはいます。
歯科の麻酔は局所麻酔ですが、日頃から精神安定剤を服用したり、麻酔をする部分に炎症などがある場合ですと、麻酔が効きにくいということはあります。ただ当院では麻酔科専門医が状況にあわせて様々な麻酔を併用していきますので、歯科での麻酔がかかりにくいと言われたかたでも、問題なく手術が行えます。
食事をされた直後や、重度の呼吸器疾患(ひどい風邪)にかかっている場合は、緊張感のために嘔吐したり、多量の鼻水が喉につまって息が苦しくなるなど、安全管理上の問題になったり、手術に影響を与える場合もあります。その場合には手術を延期し、再度改善してから麻酔および、手術をさせていただくことがあります。
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手術後は約2~3時間の休憩後、お帰り頂けます。
痛みも少なく、翌日以降も影響のでるような強い麻酔ではないこと。手術にて子宮を大きく傷つけていないので、痛みも少なく、翌日からの仕事も可能です。
シャワーも手術当時から可能です。入浴は1週間前後の検診で問題なければ入浴して差し支えありません。※手術前日の処置は痛みが強く、重大なトラブルを起こすことも稀にあるため、
当院では行いません。 -
手術後は十分な鎮痛剤を投与することで、
患者さまの手術後の痛みも最小限に抑えます。手術中に術後に痛みを少なく感じるような麻酔薬を使用するだけでなく、手術後用鎮痛剤の投与も手術中に行います。
また、手術後も十分量の鎮痛剤をお渡しします。これらの薬費用も全て手術代金に含まれています。人間は、刺激がある一定のレベル(閾値)を超えて初めて、痛みを『痛み』として感じるものです。通常手術をしますと、下図にあるBのラインのように痛みは日々減退していきます。手術当日が最も痛く、手術後3~5日目に痛みを感じなくなります。これに対し、下図にあるAのラインのように手術中に一度、鎮痛剤で痛みを「0」にします。そうすることで、痛みの信号をなくします。そうすると細胞レベルでは痛みはあっても『一定のレベル(閾値)』に達していないため、『感覚としての"「痛み」"を感じない』という現象が生じます。結果、手術後の痛みは非常に少なくてすむのです。